きれぎれの風彩(ふうさい)

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2009年12月 | ARCHIVE-SELECT | 2010年02月

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和紙の原料と生産状況

ミツマタが和紙の原料であることを知り、昨日のブログでも書きましたが、その他の和紙の原料や、和紙の生産などについて調べてみました。

和紙の原料

古くから和紙の代表的な原料は、楮(コウゾ)、ミツマタ、雁皮(ガンピ)の3種。他には麻、藁、竹などが用いられる。

コウゾ(クワ科)
栽培が容易で毎年収穫できます
全国各地に分布していますが、国内生産量の急激により価格は急騰。現在ではタイ産のコウゾが使われています。
繊維は太く長く強靭なので、障子用、表具用紙、美術紙、奉書紙など、幅広い用途に原料として最も多く使用されています。

ミツマタ(ジンチョウゲ科)
苗を植えてから3年毎に収穫できます。産地は、中国・四国地方に広がり、現在は、岡山県が生産量第1位、次いで高知県、徳島県、島根県、愛媛県。
繊維は柔軟で細くて光沢があり、紙の表面も滑らかになります。印刷適性に優れていることから、世界一の品質を誇る日本銀行券の原料として使用されています。また、証券用紙、絶縁紙、金糸銀糸用紙、箔合紙、かな用書道用紙、美術工芸紙などに使用されています。

ガンピ(ジンチョウゲ科)
生育が遅く栽培が難しいことから、多くは野生のものが採取・利用されています。従って、生産量は少ないです。
地域によっては絶滅危惧種の指定を受けており、供給体制の整備が求められています。紙は強さと、光沢感を兼ね備えており、日本画用紙・版画用紙・箔打ち紙などに使用されます。また、虫がつきにくいため、文化財の補修などにもよく使われます。

(現在、和紙として一般に目にするものは、ミツマタの紙幣以外では、コウゾが原料のものなのですね。しかし、和紙メーカーがタイ産のコウゾを使って作った紙は、和紙?何と呼ぶのでしょう?)

生産状況
  ※以下、収穫量は「黒皮」換算計となります。「黒皮」は下段参照。

コウゾの収穫量は、1965年の3,170トンから1975年には843トンとなり激減。その後も減少を続け、1995年には156トンになり、その後横ばい状態の時もありましたが、減少傾向には歯止めがかかっておらず、2004年度は70トンになりました。
高齢化と後継者不足は、どこでも共通の課題です。

ミツマタの収穫量は、1965年に3,120トンと、コウゾと同程度でしたが、1975年には1,614トン、1995年は655トン、2004年度は571トンと、減少しているものの、コウゾよりは高い水準で下げ止まっています

これは、ミツマタで紹介したように「局納」の影響が大きいようです。紙幣、主に1万円札)の原料として独立法人国立印刷局に納めるミツマタは、島根、岡山、高知、徳島、愛媛、山口の局納生産県6県が生産契約を結んで生産しており、安定した需要に下支えされているのです
もちろん、コウゾと同様、構造的な問題を抱えており、将来的な生産基盤への不安は拭えない状況にあります。

ガンピの生産量は、2003年で約2トン、2004年は約1トンでした。
前述したような状況なので、自然採取そのものが難しくなる可能性もあるようです。

(ミツマタは、その特性が活かされ、今では日本の和紙原料の中では1番の生産量になっているのですね。)

和紙の生産方法について

和紙は、これらの原料の靭皮(じんぴ)といわれる繊維(植物の外皮の下にある柔らかな内皮)を使います。そこで、

1.原料である木を刈り取り(落葉後。多くは12月~1月)、
 長さを切り揃え、蒸し釜に入れて蒸します。
2.樹皮(「黒皮」といいます)を剥ぎ、竿にかけて乾かした後、
 水に浸し、柔らかくします。
(1月21日、美作市の「加工作業始まる」のニュースは、ここまでの蒸す~黒皮剥ぎのことでした。)

3.黒い表皮を削り取り、「白皮」にします。その後、
 川の水に浸けたり、雪の上にさらしたり、天日にあて白くします。
4.煮熟(しゃじゅく)といい、釜で煮詰めます。
5.チリ取りといい、きれいな水の中で不要な部分を取り除きます
(1月24日、津山市の「川ざらし」のニュースは、このチリ取りのようです。)

6.叩解(こうかい)あるいは打解といい、木の棒や木槌で叩き
 繊維を分散させます。
(ここから以降の行程は、TVなどでよく紹介されます。)

7.紙漉き。漉き槽の中でスノコに均一に・・・。
8.圧搾。圧搾機で水を絞り出します。
9.板はり。乾燥
10.選別、仕上げ、裁断、包装。

このように、原木から様々な工程を経て紙(製品)になりますが、コウゾの原木から障子紙を作る場合を例にすると、障子4枚分、220グラムを作るのに、原木は5,500グラム必要となるそうです。原木を100%とすると、製品はわずか4%です。

(人の手作業による技術や労働量、辛さは大変なものだと思っていましたが、原木も・・・大変なものですね。)

たまたま見かけたミツマタをきっかけに、和紙のことも(多少ですが)知ることができました。なお、下記サイトを主に参照いたしました。ありがとうございました。

・「日本特用林産振興会」さんの「和紙」
  http://www.nittokusin.jp/05bunkazai07_1.html
・「アワガミファクトリー」さんの「和紙のいろは」
  http://www.awagami.or.jp/iroha/material/index.html

*最後までお読みいただき、ありがとうございます。『きれぎれの風採』では、庭木(植木)や草花、自然やエコを中心に綴っております。どうぞ、またお立ち寄りください。
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